白内障治療薬:ピレノキシン(商品名:カタリン、カリーユニ)

白内障治療薬:ピレノキシン(商品名:カタリン、カリーユニ)

 

目に存在する水晶体が白く濁っていき、視界がぼやけてしまう病気が白内障です。加齢に伴って白内障の発症リスクが高くなっていき、年を取るとその割合は増加していきます。

 

 

そこで、白内障の進行を遅らせるために使用される薬としてピレノキシン(商品名:カタリン、カリーユニ)があります。

 

ピレノキシン(商品名:カタリン、カリーユニ)の作用機序
水晶体はタンパク質によって構成されています。私たちの体を作る物質の中で、水の次に多い成分がタンパク質です。皮膚や髪の毛もタンパク質によって出来上がっているため、タンパク質の存在は重要です。ただ、水晶体を構成するタンパク質に異常が起こると、白内障を発症します。

 

 

タンパク質は外から力が加わると、その形を変えます。例えば、肉はタンパク質の塊ですが、肉に熱を加えるとこんがりと焼きあがります。これは、加熱によってタンパク質の形が変わるからです。このように、外部からの影響によってタンパク質の形が変化することを「変性(へんせい)」といいます。

 

 

水晶体の構成タンパクが変性すると、白色に濁ることが知られています。つまり、白内障患者ではタンパク質の変性が起こっています。

 

 

ただ、なぜタンパク質の変性が起こるかについては詳しく解明されていません。一説によると、キノイドと呼ばれる物質が白内障の発症に関与する「キノイド学説」があります。

 

 

水晶体の中では、アミノ酸の代謝が行われています。しかし、この代謝経路に異常が起こると、アミノ酸からキノイド物質(キノン体)が生成されます。このときのキノイド物質が水晶体のタンパク質に結合すると、白濁を生じるようになります。

 

そこで、キノイド物質がタンパク質に結合する過程を阻害すれば、白内障の進行を抑えることができます。このような考えによって創出された薬がピレノキシン(商品名:カタリン、カリーユニ)です。

 

ピレノキシン(商品名:カタリン、カリーユニ)の特徴
白内障を改善して目が見えるようにする薬ではなく、ピレノキシン(商品名:カタリン、カリーユニ)はあくまでの症状の進行を遅らせることが目的です。そのため、ピレノキシンは初期の白内障に有効です。

 

 

副作用はほとんどない薬であり、長期間にわたって使用しても問題ありません。ただ、白内障の症状が進行して日常生活に支障をきたすようになった場合、手術が必要になります。

 

 

ピレノキシンの点眼薬には、商品名によっていくつか特徴があります。例えば、カタリン点眼液は、大きな錠剤を溶かした後に使います。また、カタリンK点眼液は、顆粒を溶かして用います。溶解後は、冷所に保存して3週間以内に使い切る必要があります。

 

 

一方、カリーユニ点眼液は既に有効成分が液体の中に溶けており、そのまま使用することができます。そのため、使い勝手は良いです。

 

 

このような特徴により、白内障の進行を遅らせることで病気を治療する薬がピレノキシン(商品名:カタリン、カリーユニ)です。