緑内障治療薬:プロスタグランジン関連薬:ビマトプロスト(商品名:ルミガン)
緑内障治療薬:プロスタグランジン関連薬:ビマトプロスト(商品名:ルミガン)
視野の欠損により、時間が経過するごとに視覚障害が広がっていく病気として緑内障が知られています。失明原因の上位に緑内障があり、適切な治療を行わなければ重大な視覚障害がもたらされます。
そこで、緑内障を治療するために用いられる薬がビマトプロスト(商品名:ルミガン)です。ビマトプロストはプロスタグランジン製剤と呼ばれる種類の薬になります。
ビマトプロスト(商品名:ルミガン)の作用機序
緑内障は視野(目の見える範囲)が狭くなってしまう病気ですが、なぜ視野が狭くなるかと言うと、それは視神経が傷害されてしまうからです。特に眼圧が高くなってしまう高眼圧症であると、視神経が傷害されやすいために緑内障を発症しやすくなっています。
ただ、高眼圧症ではなく、正常眼圧であっても緑内障を発症してしまうことがあります。そのため、眼圧の高い低いに関わらず緑内障の治療が必要になります。
緑内障の治療では、「眼圧を低下させる」ことが行われます。これにより、緑内障の進行を遅らせるのです。この時に重要となる要素として、眼房水(がんぼうすい)があります。眼房水とは、眼球を満たしている水のことを指します。
眼房水の量が多くなると、その分だけ眼球にかかる圧力が高くなります。そこで、眼圧を下げるためには「眼房水の排泄を促進させる」という方法が取られます。
この時、私たちの中に存在する物質の中にプロスタグランジンF2α(PGF2α)と呼ばれるものがあり、これが「眼房水の排泄を促進させる作用」をもつことが知られています。
そこで、プロスタグランジンF2α(PGF2α)の構造を変化させれば、より強力な眼圧低下作用を有する薬を開発できる可能性があります。
このような考えにより、プロスタグランジンF2α(PGF2α)と似た構造を有することで眼圧を下げ、緑内障を治療する薬がビマトプロスト(商品名:ルミガン)です。
ビマトプロスト(商品名:ルミガン)の特徴
点眼薬としてビマトプロスト(商品名:ルミガン)を使用することにより、「眼圧変化率−30%」を70.4%の患者さんで達成できることが分かっています。52週間という長期投与によっても、効果の減弱もなく安定した眼圧コントロールが可能です。
ビマトプロスト(商品名:ルミガン)を使用する際、1日1回1滴という簡便な方法によって眼圧を下げることができます。
主な副作用としては、結膜充血や眼瞼色素沈着、虹彩色素沈着、眼そう痒症(目のかゆみ)などが知られています。
なお、より専門的な話をすると、ビマトプロストによる「眼房水の排泄」は「ぶどう膜強膜流出路を介した眼房水排泄の促進」を指します。これは、プロスタマイド受容体(PM受容体)への刺激作用によって起こる反応です。
緑内障治療薬の中でも、他のプロスタグランジンF2α(PGF2α)製剤はプロスタノイド受容体(FP)受容体に作用しますが、これとは異なる受容体へ作用することで眼圧を下げるのです。
このような特徴により、眼房水の排泄を促すことで眼圧を下げ、緑内障を治療する薬がビマトプロスト(商品名:ルミガン)です。