ベンゾジアゼピン系薬:ロラゼパム(商品名:ワイパックス)
ベンゾジアゼピン系薬:ロラゼパム(商品名:ワイパックス)
誰でも不安や緊張は起こるものですが、これが行き過ぎてしまうと不安障害として病気と判断されます。自律神経失調症や神経症(ノイローゼ)などに伴って不安や緊張が表れてしまうのです。
これら不安症状を改善するために使用される薬としてロラゼパム(商品名:ワイパックス)があります。ロラゼパムはベンゾジアゼピン系薬(BZ薬)と呼ばれる種類の薬になります。
ロラゼパム(商品名:ワイパックス)の作用機序
不安や緊張は脳で判断されます。そのため、薬によって不安症状を改善するためには脳に作用させる必要があります。脳が余計な不安や緊張を覚えてしまうため、薬によって脳を沈静化させて治療していくのです。
夜になると私たちは眠くなりますが、これは「脳を沈静化させる物質」が放出されるために起こります。脳の機能が抑えられるため、結果として眠くなります。これと同じ作用により、「脳を沈静化させる物質」によって脳が感じる不安症状を軽減するのです。
この時、脳の活動を抑える受容体としてベンゾジアゼピン受容体が知られています。「脳を沈静化させる物質」にCl−(クロロイオン)がありますが、ベンゾジアゼピンはCl−の流入に関わっている受容体です。Cl−が放出されることで、脳内の電荷がマイナスに傾いて脳が沈静化されます。
そのため、薬によってベンゾジアゼピン受容体を活性化させることができれば、脳を沈静化させて不安症状を抑えることができると分かります。
このように、ベンゾジアゼピン受容体を刺激することで脳の機能を抑え、不安・緊張の症状を抑える薬がロラゼパム(商品名:ワイパックス)です。ロラゼパムは不安症状を取り除く薬であるため、抗不安薬と呼ばれます。
ロラゼパム(商品名:ワイパックス)の特徴
不安障害としては、突然強い不安に襲われて呼吸困難や動悸に襲われる「パニック障害」、ある特定の行為が気になって仕方がなくなる「強迫性障害」などが知られています。
過度に汚れが気になり、何度も手を洗ったりシャワーを浴びたりする人を潔癖症といいますが、これは「汚れ」が気になってしまう強迫性障害の一種です。
パニック障害や強迫性障害まで症状が進行しなくても、不安障害よりも少し軽い症状として神経症(ノイローゼ)があります。これら心身症の不安・緊張・抑うつ症状を取り除くためにもロラゼパム(商品名:ワイパックス)が使用されます。
また、心理的要因が原因となり、これが体に症状として表れることがあります。これを心身症と呼び、ストレスなどによって起こる自律神経失調症などが有名です。
うつ病や不眠症によっても体に悪い症状が表れてしまいます。抗不安薬を使用することで、これら不安や緊張を取り除くことで体に表れている不調を取り除くこともできます。
このように、パニック障害や強迫性障害などの不安障害、そしてうつ病や不眠症などの不安・緊張全般に使用される薬がロラゼパム(商品名:ワイパックス)です。
また、ロラゼパムは筋肉の緊張を和らげる筋弛緩作用を有しているため、ロラゼパム(商品名:ワイパックス)は肩こりに対しても使用されることがあります。