躁病(そう病):リチウム製剤:炭酸リチウム(商品名:リーマス)

躁病(そう病):リチウム製剤:炭酸リチウム(商品名:リーマス)

 

躁病(そう病)とは、うつ病や統合失調症と同じような気分障害の1つです。気分が高揚することで、何でもできる気がするようになったり、意欲が湧いたりするようになります。このような症状が行き過ぎるため、多くは対人関係に支障をきたすようになります。

 

 

そこで、急激な気分の高揚を抑えることでそう病を治療する薬が炭酸リチウム(商品名:リーマス)です。炭酸リチウムはリチウム製剤と呼ばれる種類の薬になります。

 

 

 炭酸リチウム(商品名:リーマス)の作用機序
気分障害の病気は、脳に異常が起こっています。例えば、うつ病であれば「学習・意欲」に関わるセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質が不足しています。そこで、うつ病ではこれらの物質の作用を強めることで病気を治療していきます。

 

 

また、統合失調症では、ドパミンと呼ばれる物質が過剰になっています。そこで、妄想や幻聴を抑えるために、ドパミンの働きを抑制します。

 

 

ただ、炭酸リチウム(商品名:リーマス)がそう病を改善する作用は、いまだに解明されていません。ある説では、細胞内の神経伝達に関わるイノシトールと呼ばれる物質を枯渇させることで、そう病を治療しているといわれています。

 

 

また、セロトニンやノルアドレナリンなどが遊離・取り込みされる過程を阻害するとも考えられています。いずれにしても、多くの作用が複雑に組み合わさることで、炭酸リチウム(商品名:リーマス)はそう病の症状を改善していきます。

 

 

このような考えにより、作用機序は不明であるものの、そう病の症状を抑えるために使用される薬が炭酸リチウム(商品名:リーマス)です。

 

炭酸リチウム(商品名:リーマス)の特徴
そう病による高揚や興奮に対して、炭酸リチウム(商品名:リーマス)は情緒安定作用を示します。そう状態とうつ状態が繰り返される場合、抗うつ薬や抗精神病薬などを使用することがあります。その中でも、炭酸リチウムはそう状態にのみ効果を示します。

 

 

なお、さまざまな作用を有する薬であるため、副作用に注意しなければいけません。主な副作用は振戦(手などが勝手に震えること)や口渇、下痢などですが、重篤な副作用としてリチウム中毒が知られています。

 

 

薬の過量投与によってリチウム中毒が起こると、消化器症状、傾眠、錯乱、運動障害、発熱・発汗などの症状が起こります。リチウムの解毒剤はないため、リチウム中毒が表れたときの処置方法は「薬の投与を中止し、利尿薬や補液によって薬の排泄を促す」などしかありません。

 

 

このような特徴により、異常に気分が高揚する気分障害に対して利用され、効果は高いものの副作用にも注意しなければいけない薬が炭酸リチウム(商品名:リーマス)です。