止血薬:カルバゾクロム(商品名:アドナ)
出血が続くようであると、血液が足りなくなって命が脅かされることがあります。この場合、止血することで血が漏れ出すのを防がなければいけません。
そこで、出血を素早く止めるために使用される薬としてカルバゾクロム(商品名:アドナ)があります。カルバゾクロムは止血薬と呼ばれる種類の薬になります。
出血するためには、当然ながら血液や血管の働きが重要です。カルバゾクロム(商品名:アドナ)は血管に作用すると考えられていますが、その詳しい作用メカニズムは明らかになっていません。一般的には、カルバゾクロムは血管から体液が漏れ出す過程を抑制すると考えられています。
炎症などが起こると、血管が拡張して白血球が血管を通過するようになります。こうして、白血球は炎症が起きている部位の周辺に集まります。これにより、感染症を防いだり治療したりすることができます。同時に、白血球以外の物質も炎症部位の周りに漏れ出すため、腫れを起こします。
このような現象を専門用語で「血管透過性の亢進」といいます。通常、血管は大きな物質を透過しないようになっています。ただ、病原微生物に感染したときなどは炎症を起こし、物質の行き来をスムーズにさせるます。
血管透過性が亢進すると、その分だけ血液が血管の外へ流れ出ます。要は、出血が多くなります。そこで、血管透過性の亢進を抑えることができれば、止血させることができます。
このような考えにより、出血時の止血作用を強めるために使用される薬として、カルバゾクロム(商品名:アドナ)があります。
カルバゾクロム(商品名:アドナ)の特徴
私たちの体には、血液を止めたり、血の塊を溶かしたりする機能があります。前者を凝固系と呼び、後者を線溶系といいます。例えば、血小板は空気に触れると固まり始め、血栓を作ります。これは、血液凝固系が活性化して、血小板の働きが活発になった結果として起こります。
ただ、カルバゾクロム(商品名:アドナ)は凝固系や線溶系に関係なく止血作用を示すことが知られています。あくまでも、血管に働きかける作用であると考えられています。
紫斑病などの「出血傾向」、眼底出血・腎出血・子宮出血などの「皮膚や内膜からの出血」、手術中・術後の「異常出血」に対してカルバゾクロム(商品名:アドナ)が使用されます。安全性の高い薬であり、副作用はほとんどありません。
このような特徴により、血液が固まったり溶けたりする過程ではなく、血管に働きかけることで止血作用を示すと考えられている薬がカルバゾクロム(商品名:アドナ)です。