脳循環改善薬:イフェンプロジル(商品名:セロクラール)

脳循環改善薬:イフェンプロジル(商品名:セロクラール)

脳梗塞では、脳血管が詰まることで血流が悪くなってしまいます。脳梗塞を発症すると、脳細胞が死滅していくことで脳の機能が悪化します。その結果、めまいなどの症状が起こるようになります。

 

 

そこで、脳梗塞後に起こるこれらの症状を改善するために使用される薬としてイフェンプロジル(商品名:セロクラール)があります。イフェンプロジルは脳循環改善薬と呼ばれる種類の薬になります。

 

 

イフェンプロジル(商品名:セロクラール)の作用機序

脳卒中は脳の血管が破裂したり(脳出血)、詰まったり(脳梗塞)する病気です。これによって血流が滞ります。脳は大量の栄養や酸素を必要とするため、少しでも血流が滞ると脳細胞は死んでいきます。脳細胞が一度死ぬと、二度と再生しないといわれています。そのため、脳梗塞後に後遺症が残ることがあります。

 

 

脳血流の悪い状態が続くと、後遺症による諸症状を生じやすくなります。脳に栄養が行きわたらない分だけ、脳機能が抑えられるからです。そこで、脳血流の循環を改善させることができれば、これら諸症状を抑制できることが分かります。

 

 

具体的には、脳血管を拡張させます。脳が詰まることで血流が悪くなっているため、血管の筋肉に直接働きかければ、エネルギー代謝を改善できます。このような考えによって開発された脳循環改善薬がイフェンプロジル(商品名:セロクラール)です。

 

また、血管には「血管収縮に関わるスイッチ」が存在します。このスイッチをα受容体といいます。α受容体を遮断すれば、血管収縮が行われなくなります。つまり、血管が拡張します。

 

 

イフェンプロジル(商品名:セロクラール)はα受容体を阻害する作用があります。これによっても、脳血管を広げて血流を改善させることができます。

 

 

このような考えにより、「脳血管の筋肉を弛緩させる作用」と「血管収縮に関わるスイッチを阻害する作用」により、脳の血管に働きかけて脳梗塞後の血液循環を良くする薬がイフェンプロジル(商品名:セロクラール)です。

 

イフェンプロジル(商品名:セロクラール)の特徴

脳梗塞を発症すると、前述の通り脳細胞が死滅していきます。このとき、脳機能が落ちることによって認知症のような症状を発症することがあります。これを、脳血管性認知症といいます。脳血管性認知症では、脳梗塞が起こるたびに記憶障害の度合いも強くなります。

 

 

特に脳梗塞後では、意欲低下(元気がない、何に関しても興味を示さないなど)の症状が表れます。これらの諸症状を改善するために、イフェンプロジル(商品名:セロクラール)は有効です。

 

 

また、イフェンプロジル(商品名:セロクラール)には血小板凝集抑制作用が知られています。血小板は血栓(血の塊)を作るときに重要な物質であり、これによって血栓が作られます。ただ、血小板が血管の中で固まってしまうと、異常な血栓を生じます。

 

 

血管内で血栓が生成された後、これが脳に飛ぶと脳血管を詰まらせて脳梗塞を引き起こします。そこで、血小板による血栓が作られないようにすれば、再び脳梗塞が起こるのを抑制できます。そのためにイフェンプロジル(商品名:セロクラール)を使用します。

 

 

このような特徴により、脳梗塞を発症した人が使用することで、めまいや意欲低下などの諸症状の改善を期待して投与される薬がイフェンプロジル(商品名:セロクラール)です。