アルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症

 

アルツハイマー型認知症は、認知症を主体とした神経変性疾患である。また、この疾患は遺伝子素因と環境要因による多因子疾患と考えられている。疾患を組織学的な面からみた場合、老人斑や神経原線維変化の出現を特徴とし、病理学的な視点で見た場合、大脳の全般的な萎縮が見られる。脳の萎縮は徐々に進行し記銘力障害を主とした中核症状の進行と抑うつ、睡眠障害、徘徊、幻覚・妄想といった周辺症状が出現してくる。

 

アルツハイマー型認知症の発症機序として有力視されているものの1つにアミロイド仮説がある。神経細胞体の細胞膜に存在するアミロイド前駆体タンパク質は通常であればαセクレターゼによって分解される。しかしなんらかの要因でこのαセクレターゼではなく、βセクレターゼとγセクレターゼがアミロイド前駆体タンパク質を分解するとアミロイドβタンパク質が産生されてくる。このアミロイドβタンパク質が細胞外に凝集・沈着すると老人斑となる。その他、アミロイドβタンパク質により微小管に結合するタウタンパクが異常にリン酸化されることで微小管の崩壊と神経原線維変化をもたらすと考えられている。