口腔・唾液腺・食道
口腔は消化管の始まり部分であり、食物の咀嚼が行われる。また、その構造は粘膜で覆われており口腔粘膜表面の重層扁平上皮に存在するいくつかの粘膜腺からは1日あたり1.0〜1.5Lの唾液が分泌されている。
★漿液腺と粘液腺の区別
漿液腺 | 水状の唾液を分泌(イメージはさらっとしている)副交感神経刺激で大量分泌 |
粘液腺 | 粘液性の唾液を分泌(イメージはネバネバしている)交感神経刺激で少量分泌のため口が渇く |
混合腺 | 漿液腺+粘液腺 |
★小唾液腺と大唾液腺の区別
小唾液腺 | その所在は口腔粘膜又は粘膜下に存在。神経支配は受けていない |
大唾液腺(三大唾液腺)は耳下腺、顎下腺(下顎腺)、舌下腺のこと。
耳下腺は漿液腺でありプチアリンに富んでおり消化が主な作用となる。また、ウイルス感染した場合はおたふくカゼ(流行性耳下腺炎)発症につながる。
顎下腺は漿液と粘液の両方を分泌する混合腺でありムチンを多く含む。
【粘液細胞<漿液細胞】
舌下腺は漿液と粘液の両方を分泌する混合腺でありムチンを多く含む。
【粘液細胞>漿液細胞】
★唾液腺の神経支配について
交感神経刺激によりプチアリンが少ない濃い唾液を少量分泌する。
副交感神経刺激により薄い唾液を多量分泌
食道は頸部、胸部、腹部の3部に分けられる。
その所在は咽頭と胃の間(第6頸椎の高さで咽頭に続き、第11胸椎の高さで胃に連なる)であり
蠕動運動により食物を胃へ送る働きを有する。
食道下部括約筋は食道と胃の境界にあり胃内容物の逆流を防ぐ役割を担っている。
壁は内側から順に(粘膜、粘膜下組織、筋膜、漿膜)の4層構造である。
粘膜部位に関しては重層扁平上皮で構成されており筋層は内輪走筋層と外縦走筋層の2層で構成されている。
★食道壁の筋層(上部は横紋筋、下部は平滑筋)
上1/3は横紋筋よりなる※食道横紋筋は不随意筋である。
中1/3は横紋筋と平滑筋が混在する。
下1/3は平滑筋よりなる。
★食道の3つの狭窄部位では異物が停滞しやすく食道癌の好発部位となっている。
第1狭窄部(食道起始部)は咽頭から食道
第2狭窄部(気管分岐部)は大動脈弓および左気管支による圧迫
第3狭窄部(横隔膜貫通部)