細胞周期、細胞分裂
細胞周期、細胞分裂
活発な細胞分裂を行っている組織のなかにも分裂をしていない細胞も多くみられる。
細胞は常に分裂し続けているわけではない。細胞には分裂期と分裂していない間期に分けることができ、分裂期と間期を繰り返す細胞周期を持っている。
間期では遺伝子を伝えるためDNAの合成を行う重要な時期である。この時期を S 期(合成期)と呼びDNA量が2倍になる。M 期は分裂期であり細胞分裂を行う。
また、 M 期と S 期の間は G1期、 S 期と M 期の間は G2 期と呼ぶ。S はsynthesis, M はmitosis, Gは gap の意味である。
細胞周期に関わる酵素
細胞周期にかかわる酵素には次のようなものがある。
・サイクリン(Cyclin)
細胞周期に伴い周期的に発現され、機能を果たした後に速やかに分解されるタンパク質。
・サイクリン依存性キナーゼ(Cyclin-Dependent Kinase:CDK)
特定のサイクリンと結合してタンパク質のチロシンをリン酸化して活性を発現させるリン酸化酵素。
・p21
老化、低栄養、DNA損傷等の際に細胞増殖を G1 期で停止させDNA合成阻害作用を示すタンパク質。
細胞周期はサイクリンとサイクリン依存性キナーゼとの相互作用により調節されている。サイクリンはサイクリン依存性キナーゼと結合して複合体を形成し、酵素を活性化する。この複合体が各細胞周期で働くタンパク質をリン酸化することで細胞周期の制御を行う。
p21は S期への移行期にDNAに損害があると、サイクリン依存性キナーゼを阻害して細胞周期が進むのを阻害する。そのため、DNA複製のためには減少しなければならないタンパク質である。
なお、多細胞生物の構成細胞は成熟時には多くの細胞が分裂を止める、しかし、再生肝のように障害を受けた臓器は機能を補償するために分裂し細胞を増やす。傷を受けた皮膚も再生するために細胞は分裂する。
染色体
染色体には性別の決定に重要な性染色体とその他の常染色体がある。また、父由来と母由来の染色体で同じ構造をしている染色体を相同染色体と呼び、原則として同じ遺伝子を含んでいる。
有性生殖する多細胞生物の体細胞がもつゲノム数は通常2である。1ゲノムはその生物が存在するために必要最小限の情報であり、両親から来る配偶子には1ゲノムある。そして、受精することで2ゲノムになる。
染色体は2対×23本の46本ある。
細胞分裂
細胞分裂には体細胞分裂と減数分裂があり、いずれも紡錘糸を利用する有糸分裂である。ヒトの細胞分裂において減数分裂では対合し、体細胞分裂では相同染色体は赤道面に並び分裂し対合しない。
減数分裂では第一分裂と第二分裂の2回分裂する。
キアズマ形成(乗換え現象)
減数分裂で対合している際に父由来と母由来の染色体が交差し新しい遺伝子の組み合わせを生じる現象が起こる。染色体が交差した部分をキアズマといい、ここで染色体の交換が起こる。
この、キアズマ形成が兄弟でも顔の形や髪質が違う理由である。
染色体異常
ダウン症という言葉を聞いたことがあると思う。ダウン症は染色体異常によって起こる。染色体は普通2本ずつ存在しますがダウン症では21番染色体が3本存在する。
染色体異常はダウン症以外にも性染色体が3本のクラインフェルター症候群や性染色体が1本のターナー症候群などがある。